15.幸せ?そのヒトが幸せかなんて そのヒトにしか分からない ましてや、そのヒトの人生が幸せだったかなんて 最期その時にしか本人にだって分からない―― 『ねぇ、幸せ?』 そう聞かれた時正直戸惑った 『そんなの分からないよ』 適当に答える俺に彼女が微笑む 『そうだね。分からない』 その場はそれだけで終わった 『…幸せ?』 彼女は息も絶え絶えに言う 『そんなの分かんねぇよ…』 俺は答える 彼女の手を握る俺の手は震える 『そっか…分からないか…』 『でも…私は…』―― 彼女が幸せだったかはもう分からない 彼女の人生が幸せだったのかはもう分からない けれど 俺が聞けば彼女は答える気がする 『…幸せ?』 ――うん。幸せだよ―― |
||