06.楽しい?『それ、楽しい?』 しばしの沈黙 少女は答えない 耐え兼ねた俺が口を開きかける 『…うん。楽しいよ』 小さく、か細い答え 少女は作業を止めない 静かな海辺 砂山を作っては容赦なく壊していく 少女の白くて細い腕 『なんで、壊しちゃうの?』 俺がまた尋ねる すると少女は手を止めた 今度はさっきよりも長い沈黙 けれど俺は根気よく待ち続ける 『あったらいけないものだから…』 そう、私みたいに。 ここにあってはならない存在だから。 『…なぁ、それ楽しい?』 そしてまた問答は繰り返される 明日も、そしてあさっても。 |
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