09.殴ってもいい?あぁ、いいよ。 それで君の気が済むのなら… 派手な破裂音とともに俺の視界が一瞬白くなった 『馬鹿ぁ…』 そう言って彼女は泣き崩れた それを見ても何も感じない もう、何もかもが色褪せていた もう、何も心に届かなかった これで、良かったんだ。 そう自分に言い聞かせる 二度と彼女とは会わないだろう 二度とこの空を見ないだろう 二度とこの風に触れないだろう 俺はこれから牢獄に行く 逃れることのないこの宿命のただ中に 『信じない… あなたが死ぬなんて信じないんだからぁっ!!』 アナタガ不治ノ病ナンテ ダカラ自ラ命ヲ絶ツナンテ 私ハ絶対ニ―― |
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