窓辺に咲く花



窓辺に咲く花



桜のある家。

その向かい側に俺は住む。

特別大きくもない桜だった。

思い入れもなかった。

ある春の日その桜のふもとに少女がいた。

散り始めた桜のように白い肌をしていた。

その少女は何かを見ていた。

次の朝も、その次の朝もそこに座っていた。


その家に俺と同じ年の少女がいる。

それは聞いていたことだった。

その家の子供だろうと思っていた。


一週間ほどがすぎたある日。

俺はその少女の隣りに腰掛けてみた。

散り行く桜の向こうに見たもの。

それは俺の部屋の窓だった。

「…ずっと君を見ていたの。

 声、聞きたかった。

 名前、読んで欲しかった。

 …好きだったの…でも」

強い風に桜が舞った。

「神様に見捨てられちゃったの…」

少女は桜吹雪とともに消えた。


少女は病で死んだと聞いた。

桜がとても好きでいつも見ていたという。

俺は散り終えようとしている桜のふもとに花を添えた。

そして呟いた。


「…さくら…」


空から花びらが舞い、手の中へと落ちた。


『ありがとう…』


それは窓辺に咲く花のように儚い幻だったのかも知れない。



―2004 5 12 完―





あとがき。


今回は短く。
絵本とかであるぐらいの長さにしたかったのでこういう長さにしました。
書いてみて分かりますが短いなかで言いたいこと言うのは難しいです。
日本には短歌とか俳句とかいうものがありますがすごいと思います。
…にしてもやはりどことなく儚い物語になってしまうのは性分でしょうか、
はたまた最近の自分の心情でしょうか…。
頑張って明るい物語もかけるようになりたいです。
頑張ります。

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