思い出に咲く花

思い出に咲く花




このままずっと

一緒にいたい。

だけどそれは叶わぬ夢…





この景色をどこかで見た。

そんな気がしていた。

いつもと同じ

いつもの部活。

けれど毎日少しづつ違う。

そんな日常。

そのはずだった。

「李音(りお)さん、もう一回お願いします。

 間違っちゃって…」

しかし私の見てる景色は違った。

後輩のとる行動もセリフも全てに覚えがあった。

「きゃあっ!」

後輩が目の前で筆記具の缶を落とした。

これもだ。

まるで…



まるで昨日をもう1回経験しているようだった。





そして次の日。

次の日も同じだった。

全く同じ一日が流れ始めた。

けれど私はこれでいいような気がしていた。

ずっとこのままでいたかった。

目の前で昨日と同じようにパート練習をしている後輩の1人。

「李音さん、もう一回お願いします」

詩(うた)はあと一週間ほどでいなくなってしまうはずだった。



「私、一学期一杯でこの部活辞めます」

そのことを聞いたのはもう七月になろうという頃だった。

「親の都合で…学校も転校するんです」

そう言った詩は悲しげだった。

「吹奏楽コンクール…皆で出たかったなぁ…」

私も、もう一人の後輩も泣いた。

詩の目にも涙が浮いていた。



詩は後輩でありながら私と同等ぐらいの技術があった。

いや、もしかしたら私よりも上手かったかもしれない。

詩ともう一人の後輩と私の三人。

その三人でパート練習をするのはとても楽しかった。

引退するまではずっと一緒にいられる。

そう思っていた。







どれくらいの日にちが過ぎただろうか。

私はまだ同じ日を繰り返していた。

楽しかったはずの日々。

けれど…

「李音さん、もう一回お願いします」

「違う!」

「え?」

こんなのは私の望んでいたことじゃない…!

過去をいつまでも繰り返しているだけではだめだ。

前に進まなくちゃ…。

「…本当に?」

詩が姿をかえた。

それと同時に空間が黒く広がっていく。





目の前には少女と宇宙のような空間があった。

この少女は夢の番人だった。

――ずっと一緒にいたい。

  それがあなたの願いだったのではないですか?

「…確かにちょっと前まではそうだった。

 でも何か違う気がする」

私はただ、怖かった。

日常が変わって私が今の私じゃなくなるのが。

――ここにいればずっと楽しかった頃にいられるのですよ?

少女は私を見ていた。

――それとも、戻りますか?

  あなたの後輩はもうすぐいなくなるのに?

私は少女を正面から見据えた。

「私は…」





あれから二ヶ月。

二学期が始まった。

詩はもういない。

けれどいつでもこの青空の下に

同じ空の下にいる。

いつかまた会える。





私のなかで詩は思い出に咲く花になった。

いつも美しく輝いている――



―二〇〇四 七月十四日―







あとがき。

何か言いたいことがよく分からなくなった感がないでもないんですが…

まぁありがちな話ですよね。

自分もこの状況になったことはあります。

でも、時は止まってはくれませんが。

珍しくそんなにすっごくは暗くないかな?

少しは暗いですが…





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