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「!…では、ミュージは私の以前のマスターの…」
驚いているシュベルツに僕は笑顔で答え、紙に書いてある文字を読む。
「流行り病来たりて町が痛みの声で溢れた時、目隠しをした歌い手とそれを率いた作曲家現る」
「…」
「歌い手が歌う時、町は眠りに包まれ、流行り病かかりし人々は痛みを忘るる」
「…そうだ…私はあの方の歌ならば、人を傷つけず、眠りに誘うことが出来た…」
「僕の一族って、色々なものに魔法を練りこむことが出来る一族だったみたい」
僕は、それが音楽だった。
「あの方が永遠の眠りにつくとき、私は封印された…私はすでに心に傷を負っていたから」
深い深い、心の傷。
表には見えない、傷痕。
「じゃあ、私の声でミュージが正気でいられるのは、その魔力で」
「特に僕は力が色濃く出ちゃって、それで僕らが出会った時に話したことにつながるんだ」
「そうですか…」
「あーあ、これで僕は晴れてシュベルツの契約者…マスター、か」
それを聞いたシュベルツは涙で汚れた顔を一度ぬぐい、僕の前で膝をついた。
「今までのご無礼をお許しください、マスター」
「や、やめてよシュベルツ」
「なんなりと、ご命令を」
(困ったなぁ…)
少し僕は考えて、そして言った。
「じゃあ、今まで通りでいて」
「マスター、それでは」
「だから、マスターも無し!ミュージでいいんだよ」
「分かりました…ミュージ」
「あ、でも、歌は歌ってね。僕のために」
シュベルツは、ふっと微笑み、すっくと立つとこう言った。
「もちろん、今まで通り、ですからね」
「うん!それじゃあ…」
「帰りましょうか、私たちの家に」
僕たちは、肩を並べて歩き出した。


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