ソラのほとりで

ソラのほとりで





「悪魔の仕事ってイタズラなの?」

少年が驚きの声をあげる。

私はそれを見てうなずいた。

璃空と会うようになって数日。

今日も湖のほとりに二人並んでいた。

「イタズラって…例えば?」

「光を盗るの」

「光を?」

少年は再び驚く。

私はそばに咲いていた花に手を伸ばす。

その花は咲いたばかりで光り輝いていた。

「この世界では影は悪魔が作るもの。

咲いたばかりの花には影がない…」

私はそう呟いて花に手を触れた。

すると花の下から光が消え、暗い影が落ちる。

「…それがイタズラなの?」

聞かれて、頷いた。

「そっかな…

明るすぎると目が疲れるよ。

だから影を作るのも人の役に立つのに…」

少年は首をかしげる。

「それに…悪魔を殺すのも変だよ。

こんなにも人の役に立つのに…」

私の心が暖かくなる。

思わず顔を伏せ呟く。

「ありがとう…。

そうやって、考えてくれる人初めて…」

少年はそれを聞いて微笑んで答えた。

「どういたしまして」



その日家に帰ってまず聞いたのはお父さんの怒声だった。

「お前、人間と会ってるそうだな。」

「どうしてそれを…」

私はあとずさった。

「もう二度と会っては駄目だ。

分かったか?」

お父さんには逆らえない。

けれど私の脳裏には璃空の青い瞳が浮かんでいた。

「…なんで?

なんで会っては駄目なの?」

するとお父さんは苦い顔をしていた。

「…殺されてしまうかも知れないんだぞ」

「璃空は…

璃空は違うよ!

璃空は悪魔のことも考えてくれるんだよ!」

私の目から涙が流れた。

お父さんはまだしばらく苦い顔をしていた。

「とにかく駄目だ。

忘れるな。

悪魔と人間は決して相容れない…」

お父さんは私の肩に手を置く。

自分の部屋に戻りしばらくすると、お姉ちゃんが来た。

「ルカ…悪いことは言わない。

もうあの人間とは会うな」

「お姉ちゃんまでそういうの?

なんで?」

「…いつか思い知ることになる。

その前に…」

お姉ちゃんはそう言って部屋から出ていった。

その瞳は少し悲しげだった。

その瞳は私の心に焼き付いた。

それでも次の日。

私は璃空に会いに行った。



NEXT/HOME
本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース