音に咲く花

音に咲く花



前編


何故出会ってしまったのだろうか。

何故こんなにも好きになってしまったのだろうか。

出会わなければ

好きにならなければ…

こんなにも辛い思いはしなかった。

こんなにも悲しい思いはしなかったのに…





(ああ、私死んだのか…)

歩きながら思った。

さっきから何もない空間を歩いている。

どのくらい歩いているのかも分からない。

ただ、私は階段から落ちて気がつくとここにいた。

――どうしましたか?

声が聞こえた。

少女のような声。

目の前に少女がいたのだ。

「あなたは…死神?」

――いいえ。

  私は夢鳥。

  人に最後の夢を見せる者。

「最後の…。

 じゃあやっぱり私は死んだんですね…」

少女はその呼び掛けに答えなかった。

代わりに何もないはず空間に腰掛ける。

まるでそこに椅子があるかのように。

――見たい夢はありますか?

少女はこちらを見ずに言った。

そのために理解に時間が掛かった。

「…なんでもいいんですか?」

――私のできる範囲であれば。

やはり少女はこちらを見ない。

「だったら…あの子の夢かな」

――あの子とは?

「すごく生意気で憎たらしくて…でも」

私は少女がこちらを見ているのに気がつく。

少女の顔とあの子の顔が何故か重なる。

「…あの子が作る音楽、私は好きなんです。

 あの子が、とても愛しい…」

――面白いですね。

音も無く少女が立ち上がる。

空中で埃を払うような仕草をしている。

――もう少し聞かせていただけませんか?

少女が私の手を引きあるところで何かを示した。

――どうぞ。

「え…椅子?こんなところに…」

確かに足下に何かがある。

少女もさっきと同じように空中に腰掛けた。

――申し遅れました。

  私の名はAVIE。

  あなたは?

「私の名は美夕音です。

 …あの子には“みゆさん”って呼ばれてたんです」

さっき見たあの子の面影は消えていた。

――それではお聞かせください。

何もない空間に少女の声が響く。





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