「大丈夫ですか?ミュージ」
私はベッドにいる青年に尋ねた。
「ちょっと熱出て来たかも…まぁ大丈夫かなぁ」
(嘘だな…)
答えた青年は、赤い顔をして答えた。
その顔は笑ってはいるが、だいぶつらそうだ。
「…でも、気持ちのいいもんじゃないから」
「すみません。その感覚が分からなくて…人間じゃないんで」
そう。私は人間ではない。
魔王と呼ばれていた、セイレーンだ。
「熱があるって感覚も?」
「そもそもだるいって感覚も…あまりに長い間歌わなければ」
「…ちょっとこっち来てみて」
「?」
私がミュージの元に来ると、ミュージは私の手を自分の額に付けた。
「…うあつっ!」
私はすぐに手を引いた。
「でしょ?まぁ、シュベルツには、ずっと契約の力が流れてると想えば」
「契約の力…」


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