(…封印、完全に解けてないのかな?もしかして、失敗?)
「私は…シュベルツ」
「…!」
彼の口から低く響く声が発せられた。
(なんて綺麗な声…)
「そうか、シュベルツ、僕が君の魔法を解いたんだ」
感嘆しながら僕は言った。
「…なんとも、ないんですか?」
「え?」
「私の声を聞いて…正気でいられるんですか?」
「ああ、うん…大丈夫だけど?」
そういうとシュベルツと名乗った彼は少し安心した様子だった。
(でも…なんで?)
そんな疑問を持っていたら、彼はそれに答えるようにポツリと言う。
「私の声は…あまりの魔力で様々な人を傷つけてしまう…」
「ああ、だから魔王と呼ばれていたのか」
こくり、と彼はうなづいた。
「そうかそうか…なるほ、ハ、ハ、ハクション!」
ぶるりと体が震えてしまう。
彼は、その様子を見て、自分の着ていたマントを取った。
「え、いいよ、シュベルツ」
「いえ…まだ契約を結んではいなくても、あなたが私のマスターです」
そう言って、僕にマントをかけるその腕はあらわになる。
黒いインナーから出た、細いけれど、端正なその腕には…。
(傷痕…それも、ずいぶんと、深い…)
「早く暖かいところへ、マスター」
「あ、じゃあうちに行こう」
「はいマスター」
マスターという言葉はなんだかくすぐったい。
ここは、やっぱり…。
「僕のことは、マスターじゃなくて、ミュージって呼んでね」
驚いた顔をした彼を先導するように、僕は歩き始めた。


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