その間に私は楽譜という紙に触れてみた。
(あ…音が、心に流れ込んでくる…)
「…え」
ミュージの驚いた声でハッとした。
気が付いたら、私は歌っていたのだ。
「あ、あの、すみません…」
「え、いや、あの、続き歌って!」
焦る私は口ごもる。
しかし、やはり口ごもるミュージは焦っているというよりは、興奮していた。
私は一つ呼吸をして、楽譜にまた触れる。
流れ来る音を、口に出して、歌う。
歌うのは久しぶりなのに、声は驚くほど自由に出る。
それは、やはり私のセイレーンという性質からなのか。
それとも…。
私は歌い終わった。
ミュージがパチパチと拍手をした。
「すごい…やっぱり綺麗な声だ、シュベルツ」
「あ、ありがとうございます。でも」
「でも?」
ミュージが私のもとに駈け寄ってくる。
「この曲、なんだかとても歌いやすくて」
ミュージはそれを聞いてきょとんとした。
私は何故ミュージがそんな顔をしたのか分からなかった。
ミュージは、ふっと自嘲気味に笑って楽譜を見た。
「そんなこと言われたの、初めてだよ」


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