「…僕はね、人間だけど、セイレーンの化身じゃないかって言われてた」
僕は幼い頃の経験を思い出していた。
シュベルツが僕の顔を見つめているのは感じていた。
しかし、そんなことよりも、話すことがある。
「僕の曲は、難しすぎて誰にも歌えなかった。それどころか…」
幼いころの、苦い記憶。
あまりに難しすぎて、歌い手のプライドを次々にへし折っていく。
「僕の曲は人を傷つける…僕は音楽が好きなだけなのに…」
「…」
(ああ、こんなこと言ってどうするんだ…シュベルツが困ってるじゃないか)
「…私も、同じです」
シュベルツが言った。
「同じ?」
シュベルツはどこか遠くを見つめて、言葉を続けた。
その手は、彼自身の手首を掴んでいた。
「私も、歌うのが好きなのに、セイレーンという生き物だから」
セイレーンの唄は、人間を錯乱させる。
そういう言い伝えがあった。
「私はセイレーンの中でも、特に珍しい、男のセイレーン」
そうだ。
普通、セイレーンは女の形をしているはずだ。
けれど、シュベルツはどう見ても、男だ。
それはつまり、突然変異で、その血も色濃いものなのだろう。
「私は何回も何回も自分を責めました」
(そうか…だから、傷痕が…って)


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