ミュージが私にくれたものは、音楽や、歌うことが出来る喜びだけではなかった。
私が太陽の光に目がくらむのを気にして、特製の眼鏡を作ってくれた。
その眼鏡をかけて、私はしばしば外に出てみた。
夜ならば、眼鏡がなくても外に出ることが出来た。
しかし辺りを散策するのに夢中になって、日が出てきて動けなくなることもあった。
ある日、こんなことを言われた。
「ねぇ、シュベルツ。もしも他の人に歌を聴かせることが出来たとしたら」
いつものように、楽譜とにらめっこをしているミュージが言った。
「他の人の前に出て歌うつもりはない?」
ミュージに巻いてもらった包帯の下で、傷がうずく。
「何故ミュージが私の歌を聞いても平気なのか、分かりませんが」
きっと、また傷つけてしまうだろう。
もしも、また誰かを傷つけたなら、私は…。
「ミュージの歌を歌えれば、私は充分です」
「そっか」
そんな私の気持ちを推し量ってかミュージは無理に契約しようとしなかった。
契約しない以上、ミュージの言葉に強制力はない。
それでも私はミュージの曲が好きでミュージのために歌うのが好きだった。
しかしそんな平和な日々は長くは続かなかった。
ある日、目覚めると、ミュージがいなかった。
(出かけたのか?)
扉の音がした。
(ミュージ、帰ってきたの…か?)
そう言おうとした時に、布で口をふさがれた。
「お前か?男のセイレーンっていうのは?」
(誰だ?!)
「おっと、声は出すなよ?お前は誰かを傷つけたくないんだろう?」
(くっ…)
私は黙り、口から布を外された。
「俺は、研究者だ。お前を研究して、俺たちは、この町を支配するんだ!」


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