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「え…」
僕が黙っているとシュベルツはふらふらと歩き、イスに腰かけようとした。
しかし、上手くいかず、シュベルツは床にしりもちをついた。
「シュベルツ!大丈夫?」
シュベルツには痛みよりも、悲しみの方が勝っているようだった。
タナトスは、悲しそうだが、来るべき時が来たという感じだ。
ただ、早すぎる気がした、とシュベルツが訳してくれた。
「クランは、私が人ではないと分かっているようでした」
「でも、シュベルツが歌っていれば、眠りが深くなるんでしょ?」
「もう…それだけでは、抑えられないんです」
「だから、殺してって?」
沈黙が、重い空気が家の中に充満していく。
「…にゃあにゃあ…」
その場には普通ではおよそ似つかわしくない猫の鳴き声
「タナトス!それは…私には…」
「シュベルツ、タナトスはなんて?」
シュベルツは、何度も言いかけて、何度も首を振った。
「シュベルツ、言え」
僕が滅多に使わない命令口調。
それは、契約の発動。
「タナトスは、『魔王』なら可能だろうと…」
「魔王ならって…セイレーンのシュベルツってこと?」
「私の死に誘う力で…眠るように、殺せと」


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