03

この青年と会ってから、しばらく経つ。
私に比べれば随分と感情が豊かだと思っていた。
けれど、最近はもっと豊かになっているような気がする。
涙も、見た。
レティが去った時は涙は見せなかったものの、この細い肩を震わせていた。
「僕の顔に何かついてる?それとも」
ミュージは私の前にずいっと身を乗り出してきた。
「まだ何か言いたいのかなぁ?この口は」
「ちょ、ミュージ、それ、自分で直接食べるなって…」
ミュージは食べるソースの瓶を掲げていた。
「なんでもないですって!なんでもないですから!」
「ほんとにぃ?」
「ほんとですって!」
「…クルッポー…」
二人の間に、鳥の鳴き声が割って入った。
「あ、目が覚めたんだね?シュベルツ通訳お願い」
さっきまでの調子がうそのように、ミュージは鳥の元へ行った。
「わ、わかりました」
私は耳に神経を集中させる。
通訳、というのは、私の特殊能力のひとつだ。
それは、音に精通しているもの…私がセイレーンだからだった。



NEXT/BACK
本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース