09

ミュージから声をかけられ、私はゆっくりと顔を上げる。
レティが、私のことを見ていた。
驚いた顔をしていたが、無事なようだ。
「え…」
「…いい声だな…何故今まで喋らなかった?」
「何故って…大丈夫、なのですか?」
「ああ…どういう意味だ?」
聞かれて、少し戸惑う。
けれど、このメモの意味が、事実だったら。
そして、このメモが私に与えたことを考えると。
「もしかして、魔力、が?」
「マリョク?」
レティは聞き返したが、私は確信していた。
ミュージの一族は、形のないものに魔力を込めることが出来た。
もしかしたら、レティも。
「まぁ、とりあえずその辺にしといて、これ見てよ」
ミュージが私たちの会話に割って入った。
その手には、ガクフ。
「これ…私の、詞に?」
「うん。出来たよ」
「ありがたいが…」
彼女はそう言って私の顔を見た。
「分かったのだろう?シュベルツ…今のメモで」
「大丈夫。これ、君の分」
ミュージはそう言ってレティにガクフを渡す。
「これを見せてくれれば、僕は君を忘れない…君が忘れても」
レティの目が見開かれた。
ぐらりと肩が揺れたのを、私は素早く支えた。
「レティ…君は、『忘れてしまう』んだね?」
ミュージの声が静かな家に響いた。



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