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「私は…数ヶ月前から、物覚えが悪くなった」
レティは僕たちに話をしてくれていた。
おそらく、彼女が隠していたことを。
「最初は、ただ物覚えが悪くなっただけかと思った」
レティの声は震えていた。
聞いていると少しつらい。
だけど、受け止めてあげなければいけない。
「異常なほどメモを取った。でも、忘れるのは止められなかった」
たくさんのメモの意味。
やはりそこには彼女が抱えているものの重みがあった。
「何かを好きになれば、関われば、忘れた時のショックが大きい…」
忘れたことも。そして…。
「忘れられたモノの、計り知れないダメージは、私には分からない」
「だから、この町にも現れては消えてを繰り返した…」
僕の言葉にレティはうなずいた。
「でも、人々の記憶から完全に消えることは出来なくて」
気がつけば、ユウレイと言われていた。
そういうことだろう。
「私はもう、忘れたくない…」
「そうだね…でも、忘れたって、また繰り返せばいい」
僕は言った。
「君は、また一からかもしれない。でも、僕たちは一からじゃない」
シュベルツも、僕も。
シュベルツが視界の隅で微笑んだのが見えた。
レティに安心してもらいたいから。
また、会いたいから。




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